植村直己さんの冒険記『極北に駆ける』は、究極の癒し本!?毎日の生活に疲れたあなたに。

本・雑誌

今年の5月に初めて植村直己さんの著作『青春を山に賭けて』を読んでから、ずっと「植村さんワールド」に惹きつけられておりまして、

週末に朝の散歩をしている時、仕事が終わって会社から家に帰った後のふとした瞬間、お皿を洗っている時、お風呂に洗っている時、入っている時・・・

常に頭の片隅でなんとな〜く、ぼんやりと、「植村直己さんの本を読みたいな」と考えている自分がいます。

わたしは、ビジネス書よりも、植村さんの本を読みたい!のだ

『極北に駆ける』を買う。本の概要。

ということで、我慢できなくなって(←我慢する必要はない)私にとって「植村さんの本」としては2冊目の『極北に駆ける』を購入。

読み始めたら、止まらなくなって一気読みしてしまった・・・!

『極北に駆ける』は、冒険家・植村直己さんが自らの体験をつづったノンフィクションです。

当時、植村さんが目指していた「犬橇(いぬぞり)による南極大陸横断」。その夢に向けて、植村さんが、犬橇の技術を身につけ、極寒の地でトレーニングを積むために向かったのが、グリーンランドにある世界最北のイヌイット(エスキモー)の村・シオラパルクでした。

言葉もまったく通じない中、身振り手振りでコミュニケーションを取りながら、村の人たちに受け入れられていく植村さん。

初めは現地の食事(アザラシなどの肉を生のまま食していたそう)に衝撃を受け、四苦八苦したり、猟や犬橇の技術を教わりながら、南極大陸横断に向けてトレーニングを重ねていく日々が記録されています。

こう聞くと、すごいストイックで修業のような真面目な内容なのでは、という印象を持つかもしれませんが(『極北に駆ける』というタイトルも硬派な感じだし)

実際の中身はというと、特に、現地の人たちとの生活時のエピソードを綴った本の前半の内容は、結構現地の人たちの“下世話”とも言えるおもしろ話や、(私たちの「常識」からすれば)「ぶっ飛んだ」“奔放”なエピソードも多くて、またそれに対する植村さんの正直な心の声が書かれてて、めちゃくちゃ面白い😆

舞台は「マイナス40°」と極寒の世界なのに、
読み手は、読んだ後にまるでココアを飲んだ後のような心とお腹がぽかぽかした気分になれる本です。

私は、また植村さんの本で癒されてしまった・・・。

みんなも気をつけて、植村直己さんは沼るぞ!

なぜこの本を読んで癒されたのか。

イメージ画像(※UnsplashのPolina Korolevaが撮影した写真)

本の内容は、ちいかわのような小さくてかわいいやつが登場するわけでもなく、おぱんちゅをはいたウサギが登場するわけでもない。舞台は「極北での犬橇トレーニング」というかなり極限の世界。

「癒し要素」は見当たらないが、なんで私は癒されたのだろう??

それはやはり植村さんの「自分の欲望に対する素直な生き方」だと思う。

例えば、現代社会で生活していると、
会社のやりたくない!!(けどやらなきゃいけない)仕事や、
苦手な家事、かもしれないし、職場の人間関係かもしれないですが、

オトナな私たちは、時に「自分の気持ち」に蓋をして、「やらなきゃいけないこと」を毎日頑張ってこなしている。

私たちはそれを「やらなきゃいけなくて」、それは「オトナ」であれば当たり前のことだから、やる。それをすることは意義のあることだから、やる。

「やらなきゃいけないこと」の中で、「やりがい」とか「使命感」と呼ばれるものを(無理矢理?)見出して日々を頑張っていることはないだろうか。

・仕事を上出来に終わらせることができて、上司に褒められる。
・人気で難しいスキルが求められる職種に就いて、周りに賞賛されたり、尊敬される。
・美しい見た目になって異性からモテる

・・・などなど。

いつか知らないうちに、他人軸で自分の「使命」「やりたいこと」が占められていく👻

私は社会人になってからの10年近く、「オトナな立ち振る舞い」をしているうちに、いつの間にか「他人軸の価値観」が形成されていたものだから、転職活動で自分のやりたい仕事を探した時にすごく迷った。

自分のやりたいことが出てこない・・・
子供の頃はあんなに毎日やりたいことがあったのに?
自分にとって向いてることってなんだろう?
自分の適性がわからない。

MBTI(適性診断)をしても、マインドマップに「自分の強みと思うこと」を並べても、「自分らしさ」「自分が本当にやりたいこと」が分からなくて、ぐるぐるぐる、悩んでいました。

一方で本の中の植村さんは、自分の中から湧き出る「未知の世界を見たい」「開拓したい」「冒険したい」という欲望に素直。

まるで、その瞬間を全力で楽しむ子供のよう。子供、動物など、純粋な生き物に人は癒される。

でも、植村さんは当時30代前半の成人男性。生き様は純粋な子供のようだが、もちろん「純粋無垢」な子供ではない(笑)。本のエピソードには、植村さんの必死で赤裸々な「心の声」も隠さず描かれていて、そこも愛嬌があって親しみを感じるのだ。

例えば、本の中で植村さんは「犬ぞりで南極大陸横断をする」という壮大な目標に向けて自身を極限の環境に置くため、つまりは自身の強く高めるためのトレーニングとして、現地に入るのだが、そこでさまざまな「障壁」が生じる。

さまざまな「障壁」とは現地の人からの、お酒と女性の誘惑だ。

現地の人たちはお酒に、男性は女性に目がなかったらしい。

たとえば以下の文章も、正直な植村さんの心の声が面白い。

 私の家は、いまや部落でもっとも人気のある集会所となってしまった。これはこれで私にとっても楽しいことではあったのだが、ひとつ困った問題がおきてきた。それは私ひとりの時間がまったく持てなくなってしまったことだ。さしあたっては、洗濯と入浴の時間がまったくないことである。
 シオラパルクにはいった当時、わがザックのなかには、山の装備から下着に至るまで、新品がそろっていた。洗濯ができなくても、しばらくの間はストックがあったから、とっかえひっかえ着替えてすませていたのだが、九月も終わりに近づいた頃、ついに新しい下着も底をついてしまった。シオラパルクには真水がない。水はすべて浜に打ち上げられた氷を切り崩し、とかしてつくらなければならないから、えらく時間がかかる。片手間にちょっと洗濯というわけにはいかないのだ。娘たちは「私が洗濯してあげる」と言ってくれるのだが、あとがこわいから甘えるわけにはいかない。彼女たちの誘惑を何度もかろうじて排除してきたのに、ここで弱みをみせてはどうなるか、自信がもてなかった。
(植村直己著『極北に駆ける』|「入浴騒動」P.47-48より)

実はこの文章の前に、現地の若い女性(21歳)が自分のことを指差して現地語で「ママット(おいしい)」と言ってきて、言われた時はわからなかったが、後から自分は“誘い”をかけられていたことが分かるというエピソードも書かれている。

植村さんは現地女性からかなりモテていて、“狙われていた”ようだ。
植村直己さんは小柄であったそうだが(その小柄さから大学時代の登山部でのあだ名が「どんぐり」と言われていたそう)、女豹か女ライオンかに、毎日食べられてしまわないようにビクビクしながら過ごしている小動物のようで、可愛らしく感じる。笑

「犬ぞりによる南極大陸横断」を達成するためのスキルを身につけるまでは、己を厳しく律さなければと、自分の欲望と静かに戦っている様子が見ている方としては面白い(笑)

この『極北に駆ける』の中には、現代の日本に行ける私たちからすると、食生活や衛生事情(トイレ・お風呂)、性生活など、常識が異なる結構ショッキングなことも書いてある(植村さんの「文章力」で全く嫌な気分にはならずに読める)。

今はお風呂に入らない人を「お風呂キャンセル界隈」というけれど、
お風呂なんか2〜3日入らないなんて次元じゃなく、月単位で入らないことも普通。お風呂には入らず、基本的に濡れた布巾で体を拭くだけとか。

日本の「風呂キャンセル界隈」とか、カワイイものだ。

植村さん自身も、お風呂に入りたくても、極寒の地では肌を出す(外気に触れさせる)ことが寒くて簡単にはできない。水も氷を溶かして作るから簡単に用意できないので、2〜3ヶ月お風呂に入っていないこともあったようだ。

その他引用したい話もいっぱいですが、ショッキングな内容すぎて、ここで文字にして載せるのは躊躇いがあり載せられなかったので(笑)、ぜひ実際の本で読んでね😂

「クリーン」すぎると、時に疲れる

美容が大好きな私ですが、「美容」は人の心を明るくしてくれる素晴らしいものである一方、時に「呪縛」のようになることもあります。

・髪が綺麗でなければならない、
・白髪があっては老けて見える、
・シミ・シワは無くしたい、
・「無臭」か「良い匂い」であることが基本(エチケット)

心が元気な時は美容アイテムや日々のケアで前向きに向き合えるのですが、疲れていたり、陽が落ちて夜だったりすると、「キレイ」でいられない自分に落ち込んだりすることがある。

ずーと清潔で、綺麗でいること

これが時に疲れることがある。

でも植村さんの体験記で書かれている生活では、そういった当たり前や価値観とはまったく違う世界がある。

植村さんもお風呂に入れなかったために、現地の人からも「ナオミはクサイ」と言われたエピソードを書いていたが、それでも植村さんをきらいになるかといったら、そんなことはなく。
植村さんの魅力は変わらないのである。

美容ブログでこんなことを書くのもアレなのですが、

「時にキタなくても、クサくても、まぁいいじゃないか。人間だもの。 みつき」

という、感覚も持ち合わせると、楽になってちょうど良いと思う。

なんだなんだ、美容記事と矛盾してるじゃないか!?

と思うかもしれませんが、

人間なんて矛盾するものですっ!笑

ラヴ上等。矛盾上等や!

ということで(?)、現代の社会生活に、日々の生活に、頑張って、少し疲れを感じている、心がキリキリしてしまっている、そこの頑張っているあなたに読んで欲しい一冊です^^

【※補足】本の中には猟のシーンや、犬橇の犬たちへの接し方など、私たちの感覚からすると少々残酷的とも言える衝撃的な内容もあるので、そういった話が苦手な方はご注意くださいね🙏

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