私はアラスカの写真家、星野道夫さんが好きなのですが、
最近、星野さんが読まれていた本のリストを紹介している
なんとも貴重な雑誌を見つけました。
「特集 星野道夫の冒険」 ぼくはこのような本を読んで旅に出かけた
Coyote(コヨーテ)(2004年10月8日第2号)
出版社 : スイッチパブリッシング
表紙には、暖炉の前で冊子や地図に囲まれながら
ノートに何かを書き込んでいる星野さんが写っています。

雑誌Coyoteについて
雑誌Coyoteは、2004年「人、旅をする」をテーマに創刊。
様々な切り口で旅の魅力を伝えているとのこと。
こんな素敵な雑誌があったんですね。
現在も新しい号が発行されています ↓
Coyote No.88 版画家・大谷一良の遺した山々 -山のディヴェルティメント-
https://www.switch-store.net/SHOP/77596/list.html
Coyoteについて
旅に暮らし、暮らしを旅する雑誌
「Coyote」 *年3回(3月、7月、11月)15日発行
「コヨーテ」は、2004 年の創刊以来、「人、旅をする」をテーマに、星野道夫、沢木耕太郎、植村直己、谷川俊太郎、ジェリー・ロペスといった賢人達と旅をしてきました。その冒険の鉱脈は秘境にばかりあるのではなく、日常の営みの中にもあります。移動することばかりではなく、一カ所にとどまって繰り返す生活もまた一つの「旅」なのです。
(SWITCH ONLINEより引用:https://www.switch-pub.co.jp/company/)
星野道夫さんの本との関わり
自分が星野さんの本を読み始めたのは大学生のときです。
星野さんの写真集やエッセイを、何度も図書館で本を借りて、繰り返し読んでいました。
社会人になってからは新生活で忙しくなり、
星野さんの本からも、すっかり離れてしまっていました。
そういえば「星野さんが書いた本」は読んできたけど、
「別の人の目線で星野さんを紹介した本」を読むということは無かったな😳
雑誌Coyoteでは、
星野さんのご自宅の本棚に保管されていた約700冊の本のリスト(!)や、
アラスカでのフィールドノートの写真(!!)、
星野さんが編集者の方に送られた直筆の手紙(!!!)、
などが紹介されていました。
(蔵書リストは、
2004年4月アラスカのフェアバンクスの星野道夫さんのご自宅で、
奥様の星野直子さんの協力を得て
赤坂友啓氏、COYOTE編集部により制作されたものとのこと。)
これだけでも星野さんファンは興奮しますが、
南東アラスカへ星野さんの生前のご友人 ボブ・サムさんのもとを訪れ
インタビューした内容、
星野さんの講演での観客との質疑応答、
星野さんがアラスカで作っていた料理や、
料理にまつわるエピソードを紹介した小冊子も付録でついており、
見応え、読み応えが規格外でした。
まるでフランス料理のフルコースでメインディッシュの余韻に浸っていると、
さらに別のメインディッシュ級の新しい皿が、静かに次から次に運ばれてくるような感じ。
1ページ1ページに載っている情報の量、密度が濃くて驚きました。
この1ページをつくるのには、
いったいどれだけの労力がかかっているのだろう。
編集者の方の星野さんへの敬意や愛情、
雑誌の作り手としての「こだわり」が隅々まで感じられます。
これまで自分が読んできた
星野さんご自身のエッセイが、星野さんの「正面」だとしたら、
蔵書リストや、星野さんを知っている方たちが星野さんについて語った話を読む
というのは、
なんだかこっそり星野さんの「横顔」を見させてもらっているような気分です☺️
星野さんの本棚に並んでいた本たち
雑誌Coyoteの中で紹介されていた「蔵書リスト」には、
エスキモーの民話に関する本、探検記、漂流記、
詩の本、日本・世界の歴史、絵本に関する本や童話もいくつも。
あの童話作家 宮沢賢治の本も、いくつもありました。
星野さんは宮沢賢治の本が好きだったのかな。
星野さんの文章のすごさ
星野さんの文章がすごいのは、
使われている言葉の一つ一つはとても易しいのに、
読み手を一瞬で「アラスカにいるような感覚」にさせる表現力だと思います。
本を開き文章を読み始めると、
アラスカの雄大な自然の静けさや、
原野に吹くやわらかい風、
遠くでカリブーの群れの走る音、
川原で作るごはんの匂いや焚き火の音、
山小屋の窓から差し込む朝の日差し・・・など、
まるでその場の光や音、温度を感じられるようです。
読み終えて本を閉じると、アラスカの小旅行に、
行ってきたような感覚になります。
写真家であるのに文章もすごい。
自然の「厳しさ」「静けさ」の中に、
動物や人の「関わり」「温かみ」を感じるような星野さんの文章は、
宮沢賢治の童話の世界観とも通じるように思いました。
700冊以上の本のリストを見て、星野さんの魅力的な文章は
たくさんの読書によって培われ、醸成されたものだったんだな、と感じました。
蔵書リスト紹介(一部)
雑誌内の蔵書リストで紹介されていた本を一部ピックアップで、以下に紹介させていただきます。
- 『宮沢賢治全集』1〜6/宮沢賢治/ちくま文庫
- 『大百科事典』1〜16
- 『父の詫び状』/向田邦子/文春文庫
- 『チンパンジーの森へ ジェーン・グドール自伝』/ジェーン・グドール(庄司絵里子訳)/地人書館
- 『魔法としての言葉 ーアメリカ・インディアンの口承詩』/金関寿夫/思潮社
- 『滄海よ眠れ ーミッドウェー海戦の生と死』澤地久枝/文春文庫/1987
- 『The Presence of Whales』/Frank Stewart (ed.)/Alaska Northwest Books/1995
- 『Denali Diary: Letters from McKinley』/Frances Randall/Cloudcap Press, 1987
- 『トリックスター』/ポール・ラディンほか/皆河宗一ほか訳/晶文社/1974
- 『エスキモーの民話』/ハワード・ノーマン編/松田幸雄訳/青土社/1995
- 『The Snow Leopard』/Peter Matthiessen/Penguin Nature Classics, 1987
- 『The Firecracker Boys』/Dan O’Neill/St. Martin’s Press, 1994
- 『極北の夢』/バリー・ロペス/石田善彦訳/草思社
- 『ベア・アタックス ークマはなぜ人を襲うか』/スティーブン・ヘレロ/嶋田みどり・大山卓訳
- 『エンデュランス号漂流』/アルフレッド・ランシング/山本光伸訳/新潮社
- 『オルカ ー海の王シャチと風の物語』/水口博也/早川書房
- 『Make Prayers to the Raven』/Richard K. Nelson/University of Chicago Press/1986
- 『Raven’s Cry』/Christie Harris/Douglas & McIntyre (Canada), University of Washington Press (USA), 1992
- 『アラスカ原野行』/ジョン・マクフィー/越智道雄訳/平河出版社/1988
- 『デルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』/アルセーニエフ/長谷川四郎訳
- 『ワタリガラスの謎』/バーンド・ハインリッチ/渡辺政隆訳/どうぶつ社/1995
- 『星と嵐 ー六つの北壁登行』/ガストン・レビュファ/近藤等訳/白水社/1955
- 『雪原の足あと』/坂本直行/茗渓堂/1965
- 『The Power of Myth』/Joseph Campbell with Bill Moyers/Anchor Books, Doubleday, 1991
参考文献:Coyote No.2 「特集 星野道夫の冒険」p.37-62より
星野さんが見てきた世界を、これから一つ一つ読んでいくのが楽しみです。
読んだ本について、また書きます^^☕

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